2008年02月11日

終了御礼! 「制度だけが福祉じゃない」

2月3日、シンポジウム「制度だけが福祉じゃない」が終了しました。なによりも、あの雪の降る中、ご参加下さったみなさんに、
感謝! 感謝! です。
当日の様子については、シンポジストとして登壇していた吉野さんのブログ「たのまる」
http://photo-ninja.at.webry.info/200802/article_1.html
と、オーディエンスの一人として一部始終を見ていたGAMIさんのブログ「ボランティア雑記帳」
http://gami.at.webry.info/200802/article_4.html
をご参照ください。

当ブログの管理人、五十嵐はコーディネーターでしたので、その立場から少し・・・。
僕は「ばおばぶ」という名称で、制度にのらない活動をしています。ボランティアだった頃から数えると、四半世紀になります。僕らの取り組みには、「制度にのらない」という視点と、「障害者の生活に関わる」という二つの視点がありました。後者については今はあたりまえになっていますが、1980年代の日本は、障害福祉といえば自立更生と就労授産。生活の面倒は家族が見るのがあたりまえ、という迷信が蔓延っていた時代です。ですから、僕らのような取り組みは当時としては珍しく、講演や執筆の依頼、取材などが次々と来ていました。
ちょうど「たのまる」さんがテレビで紹介された時の吉野さんと同じくらいの年齢の時に、「ばおばぶ」もNHKで紹介されました。その頃は講演、執筆、取材がもっとも多かった時期で、講演だけでも月に5〜6回。日によっては2回、別々の会場で話をするようなこともありました。「ばおばぶ」の活動をしながらだったので、新幹線で行ける範囲の講演は日帰りにさせてもらい、朝お泊まりの利用者さんの支度をパッとやって、中抜けする形で新幹線に。夜帰ってくると、一人では眠ることが難しい利用者さんと添い寝をする、みたいな感じでした。
当時はかなりハードワークで、正直、講演・執筆・取材はシンドイと思ったこともありました。しかし、今にして思うと、あの頃の講演・執筆・取材が、大きな力になっていたのです。
もちろん多くの人に、障害福祉における生活というテーマの必要性、そして制度だけが福祉じゃないということを知ってもらうことができたであろうこと。これは大きいことでした。しかしそれと同時に、僕自身が二つの点で大きなメリットを得ていたのです。
一つは、講演・執筆・取材が「ばおばぶ」と社会を繋ぐ窓になっていてくれたということ。「ばおばぶ」のような個人事業は、個人であるからこそ自由に、細かく、かゆいところに手が届くような対応ができます。しかしその反面、社会性が欠如したり、社会から孤立してしまうような危険もはらんでいます。僕にとっては講演などの時に、一般の人たちに対してどう話したらよいのか等を思案することが、そして当日フロアーから質問をいただきそれに答えていくことが、社会との重要な繋がりになりました。
そしてもう一つ、他者に自分の活動を伝えるということの努力は、自身の活動を客観視することになりました。それによって、ごく自然と意識せずにおこなっている一つひとつのこと、たとえば添い寝であったり、一緒に風呂に入ったりということに至るまで、そのことの利用者さんにとっての意味や、「ばおばぶ」としての意味、社会的な意味を考えることができたのです。
こうしたことが、現在の僕と「ばおばぶ」にとっては大きな財産になっています。
さて、時代は変わって、生活への関わりは生活支援という名称で制度のメニューになりました。そのためでしょうか、「たのまる」さんや「まきのんち」さん、「空」さんへの社会的興味は薄いように思います。「制度だけが福祉じゃない」というもう一つの課題は解決されないどころか、障害者自立支援法によって、もっと状況は悪くなっているというのに!
はっきり言うと、彼らの活動が講演・執筆・取材の対象にならないことは、現在の障害者を取り巻く状況(つまり社会)にとっても不利益ですし、これから彼らが育っていくことを考えてももったいないことです。そんなことから、今回のシンポジウムをコーディネートしました。僕はたまたまラッキーな時代に「ばおばぶ」をはじめることができました。その時の多くの人たちから得た「機会」を、今度は若い世代に返していくというようなことです。
最近「たのまる」さんのブログが元気です。むかしはブログなんて無かったので、せっせと通信を作ったり、新聞や雑誌などの原稿依頼を待たなければ、なかなか執筆という形で社会への窓を開いていくことはできませんでした。でも、今はブログという社会への窓があります。ブログはどんな窓にするのか、大きな窓にするのか小さな窓にするのか、あるいはガラスをいれた窓にするのか素通しの窓にするのか、東向きか南向きか、等々管理人の自由自在です。
ブログや通信のような自分発の窓もどんどん活用していくと、面白いだろうなと思います。

さてさて、3日の裕子さんですが・・・。
シンポジウムなどというまっとうなことが大嫌いな裕子さんは、別室で遊んでいました。目的はシンポジウム終了後の飲み会。しかしシンポジウム中は雪、雪、雪。さすがに飲み会は中止となってしまいました。
シンポジウム終了後は、雪のために急遽送迎の依頼などが入り、裕子さんは五十嵐が運転する送迎車に同乗。一人、また一人と各々の家に送っていると、雪もやんできました。そしてメールに着信が・・・。
有志が柏で飲み会を始めたとのこと!
大嫌いなシンポジウムの時は雪でも、飲み会の時にはしっかり晴れにしてしまう裕子さん。
けっきょく、柏に戻って飲み会に合流です。
イベントではなく、「飲みに行くか!」で始まる飲み会。そして支援者や、ヘルパーやそういった人たちが一切いない飲み会。「制度だけが福祉じゃない」を地で行く裕子さんの食べッ振り、飲みッ振りを見ながら、人々の意識次第で福祉は変わるんだということを思いました。そして世の中のみんなが、こうして制度も福祉も支援者も無しで生活を楽しめるようになってほしい。
だから吉野さん、牧野さん、小野寺さんたちには可能性を感じています。

ちょっとのつもりが、長ーくなってしまいました。
posted by 五十嵐正人 at 12:08| Comment(4) | TrackBack(2) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記事をご紹介いただき、ありがとうございました。トラックバックもさせてください。
五十嵐さんの視点からのこの記事を、とても興味深く拝読しました。
「彼らの活動が講演・執筆・取材の対象にならないことはとっても不利益」…なるほど、五十嵐さんが「もっと発信してほしい」とおっしゃった意味がよくわかりました。
裕子さんとはゆっくりご挨拶できませんでしたが、次回は飲み会等でまたご一緒させてください。
Posted by GAMI at 2008年02月11日 12:41
さっそくトラックバック、ありがとうございます。
そうでした、裕子さんを紹介し忘れていました。今度、本当に飲み会で!
Posted by 五十嵐正人 at 2008年02月12日 13:52
当日は、コディネーターお疲れ様でした。また、ありがとうございました。

自分なりに、もっと‘発信’にも力を入れていきたいと思います。

飲み会では、裕子さんとも久しぶりに飲めて嬉しかったです。実は・・・、裕子さん同様私も、シンポジウムより遊びや飲み会の方が楽しみで、来ている1人です(笑)

余談ですが、皆様の協力と反響が大きかった事もあり、再放送が決まった様です。(嬉)
今度はCSフジ(衛星放送)なのでチューナーがある方なら全国で観られるとの事です。
詳細は、分かり次第「たのまる」のブログでも載せたいと思います。
Posted by こてつ at 2008年02月13日 15:42
祝 再放送!
決まったら、詳細を教えてください。
Posted by 五十嵐正人 at 2008年02月14日 21:06
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制度だけが福祉じゃない(6)「柏の様子(前)」
Excerpt: 2月3日(日)に柏市で開かれた、シンポジウム「制度だけが福祉じゃない」の様子をご報告します。前後編の2回シリーズとさせていただきます。
Weblog: ボランティア雑記帳
Tracked: 2008-02-11 12:34

制度だけが福祉じゃない(7)「柏の様子(後)」
Excerpt: 前回に続き、柏のシンポジウム「制度だけが福祉じゃない」の後編です。今日は、会場の人からの質疑と応答の様子などをご報告します。次のような質疑応答のやりとりがありました。(全部ご紹介できなくてすみません)
Weblog: ボランティア雑記帳
Tracked: 2008-02-11 12:35